早稲田 コーチご挨拶

早稲田大学漕艇部 コーチ 舩越 湧太郎(令和3年早大卒)

「世の中には山のように沢山の漕ぎがあるが、最も強力な武器になるのはクルーの全員が自分たち自身で選んだ漕ぎ方を信じることである」

これは、東京五輪のエイトにおいて金メダルを獲得したニュージーランド代表のShaun Kirkham選手が、昨年の全日本選手権で優勝したトヨタ紡織との対談の際に語っていた言葉です。

私は、これまでダブルスカル・ペアの両種目で五輪金メダルを獲得したシンコビッチ兄弟の漕ぎや、リオ五輪日本代表である中野氏の漕ぎ、インカレで近年最も良い戦績を残している日本大学の漕ぎ等、様々なローイングスタイルに出会ってきました。船を速く進めるために重要なことはどのようなスタイルであっても共通であることを知る一方で、重視するポイントや、漕ぎの感覚は、時には真逆と言えるほど異なっていることも理解しました。

早稲田大学漕艇部は、2021年から2023年にかけて短いスパンで監督が変わり、同時にコーチングスタッフの体制も毎年のように大きく変化するチームであるため、1つの漕ぎを貫き通すことは大変難しい状況です。しかし、そのような集団だからこそ、1つの漕ぎに固執することなく、各クルーが自分達で選択する「強力な武器」を手に入れ、最高のパフォーマンスを発揮できるチームを作ることができるのではないかと考えています。そのためコーチングにおいても、「どのように漕ぐべきか」を追求するよりも、様々なローイングスタイルが選択肢となる中で、それぞれのクルーが建設的な議論を行い、船を最も効率的・効果的に進めることができる「強力な武器」を持てるようにサポートをすることを心掛けてきました。選手諸君は、自分たちで信じて決めた、「早慶戦で勝利するための最強の武器」を元に、最も高いユニフォーミティで芯の通ったパフォーマンスを発揮してくれると確信しております。

最後にはなりますが、本大会を開催するにあたり日々サポートいただいております、大会関係者の皆様、OBOG、ご家族の皆様に対し、コーチを代表して心より敬意を表します。本年もご声援のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。