三田漕艇倶楽部会長ご挨拶

三田漕艇倶楽部 会長 平岡英介(昭和45年慶大卒)

 

 本年も第94回早慶対校競漕大会を隅田川で開催できることは感謝に堪えません。

 早慶両校のクルーも与えられた環境に感謝し、全力を尽して白熱のレースをお見せすることと確信しています。

 本大会の開催に際しては、ご理解ご指導ご支援を賜りました慶應義塾大学・早稲田大学・墨田区・台東区・中央区・江東区・警視庁及び各警察署・東京消防庁・漁業組合・屋形船組合・その他関係官庁、そしてコース設営や当日の運営に当たって万全の準備と担当業務を実施頂くOB・OG、また地元の皆さまという数多くの関係各位のご協力の賜物であることに心から厚く御礼申し上げます。

 隅田川でのレガッタ開催には多額の経費が掛かりますが、ご協賛頂いた各社様には心より御礼申し上げます。

 隅田川は戦前まではボート競技のメッカでしたが、戦後は高度成長期における河川の汚染と航行船舶の増加により、昭和15年の幻の東京オリンピックのために造成された戸田ボートコースにボート競技と艇庫は移転しました。

 その後の美濃部都政による環境改善で大気汚染の減少と共に、隅田川の浄化が進み昭和53年に早慶レガッタは隅田川に復活しました。

 隅田川という一級河川を私学の対抗戦に終日占有させることには反対も多かったのですが、当時の先輩方の多大なる尽力で許認可を取得し現在も継続できることは、諸先輩方に頭の下がる思いであることと、部員諸君には隅田川で早慶レガッタを漕げることの意義と感謝を忘れてはなりません。

 昨年はパリのオリンピック・パラリンピックで日本選手団は大活躍し、スポーツの持つ力・感動・勇気・等々を広く与えてくれました。

 日本ローイング界の悲願であるメダル獲得は今回も達成できませんでしたが決して不可能なことでは無く、軽量級種目は無くなりましたが早慶レガッタを足掛かりに早慶の部員諸君がオープン種目で世界を目指すことを願っています。

 本日のレースには早慶の各クルーは真剣勝負として臨みます。しかしながら是非とも相手クルーに対して敬意を払って貰いたいと思います。

 特に福沢精神である「気品の泉源、智徳の模範」を目指す塾クルーは「勝って奢らず、負けても相手を讃える」心の余裕を持って欲しいと願います。

 勝負は勝つことを目的に切磋琢磨するのは当然ですが、スタートでは「宜しくお願いします」ゴールでは「有難うございました」と言える人間に成長して欲しいと考えます。

 そして多くの方々に勝ったクルーにも敗れたクルーにも、盛大な応援を頂ければ幸いです。

 本日も素晴らしいレースが展開されるものと期待していますが、塾クルーが昨年の雪辱を果たすことを願って三田漕艇倶楽部のご挨拶とします。