スポーツを題材とした名曲は数多くあります。その中に、松任谷由実作詞・作曲の「ノーサイド」という曲があります。2013年12月、旧国立競技場での最後のラグビー早慶戦終了後、松任谷由実自身が歌ったことを記憶されている方も多いに違いないかと思います。この曲は、全国高校ラグビー選手権大会の決勝戦で、ゲームセットを意味する「ノーサイド」のホイッスルが鳴る直前に、ある選手がゴールキックを外し、同点優勝とならなかったことに題材をとっています。
この選手は、枯れた芝生に横たわり、そこに流れる芝生の匂いを深く吸います。彼の高校生としてのラグビーシーズンはこれで終わります。しかし、次のシーズンには、同じゼッケン番号を誰かがつけて、試合で活躍することに思いを馳せていきます。
漕艇はゼッケンをつけることがほとんどない珍しいスポーツです。その数少ない例外がこの早慶レガッタです。両校のコックスとバウの選手は、背に「W」と「K」のゼッケンをつけ、相手のゼッケンよりも少しでも早くフィニッシュラインを越えることを目指します。
このゼッケンを繋げていくことこそが、この早慶レガッタの歴史であり、そこには先輩たちの喜びや悔しさが詰まっています。今年も、どちらのゼッケンが早くフィニッシュラインを切るかを楽しみにしたいと思います。
この早慶レガッタは、墨田区、台東区、江東区、警視庁、東京消防庁、自衛隊などの関係省庁、地元のみなさま、協賛企業各社、歴代のOB・OGなどのご支援・ご理解のもと、両校の部員がまさに「手作り」で運営しています。このような『縁の下の力持ち』にも、是非、光をあててほしいと思うとともに、観客のみなさま、関係者すべてのみなさまには、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に十分にご留意いただければと強く思います。